秋山博一、「クロスボーダーETF二輪駆動」を提唱 米国ハイテクと日本防御セクターの組み合わせ

2019年前半、世界の資本市場は引き続き不安定な局面にあった。米中交渉の停滞、欧州経済の低迷、日本国内での消費税引き上げの迫りにより、投資家心理は一段と慎重になっていた。
こうした状況の中、秋山博一氏は7月の公開セミナーで、新たな投資フレームワーク——「クロスボーダーETF二輪駆動」を提唱した。

彼の判断は、長年にわたるグローバル資金フローの観察に基づいている。

米国株のハイテクセクターは依然として国際資本の主要な投資先であり、特に5Gやクラウドコンピューティング関連のリーディング企業が強い成長を維持している。

一方で、日本株の防御的セクターは医療・消費・公益事業などのETFがボラティリティの高い環境下で安定したリターンを提供している。

この2つを組み合わせることで、米国株ETFで成長プレミアムを取り込みつつ、日本株ETFでポートフォリオの安定性を確保する——これが秋山氏のいう「二輪駆動」である。彼は次のように強調する。

「ETFは資金の言語です。異なるテンポの市場同士をバランスさせることが、真のクロスボーダー運用なのです。」

具体的な運用では、単一市場での最大リターンを追求するのではなく、資金のダイナミック・リバランスを重視。2019年第2四半期、米国ハイテク株が相対的高値圏にあると判断した際には、一部利益を確定し、東京市場の医療・消費関連ETFに資金をシフトさせ、潜在的な下落リスクに備えた。

セミナー当日、参加した多くの個人投資家や機関投資家はこの「クロスボーダーETF二輪駆動」に強い関心を示し、「国際的視野と国内安定性を両立させた典型的なケースだ」と評価。ある顧客は「単一の資産ではなく、補完的な市場を探すという新しい視点を得た」と語った。

市場の不確実性が続く2019年夏、このフレームワークは多くの投資家にとって新たな道しるべとなった。これは秋山氏の戦略上の革新であると同時に、彼の長年のクロスボーダー実践の集大成であり、冷静かつロジックに基づいた投資哲学を体現している。